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音楽屋ルード館

音楽屋ルードによる、CDレビューや音楽のお話

MISOGI EP / Grapevine

  1. 2012/12/19(水) 23:05:24_
  2. CDレビュー
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MISOGI EP(通常盤)MISOGI EP(通常盤)
(2012/02/15)
GRAPEVINE

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90年代終り、戦慄的にデビューし、その後は淡々と、地味ながらも誠実な活動を続けるJ-Rockシーンの草分け「Grapevine」の最新作。この作品でも、その誠実な音楽との距離感は相変わらずで、特に今回も言葉には重みがあります。

そして、彼らの良いところでもあり、この作品にも聴きやすいナンバー「RAKUEN」が含まれています。彼らの作品には、必ず耳馴染みの良いナンバーが含まれており、玄人趣味で複雑な音楽性にいつもポピュラリティを保ってくれています。

彼らは、デビュー当時「ミスチル」の再来と言われておりました。しかしながらも、誤解を恐れずに言うならば、この言葉の語弊がシーンやまた当人たちにも良い影響をは与えなかったように思います。私個人の感覚では、ミスチルに通ずるイメージは微塵も持てませんでした。

Mr.Childrenというバンドは、日々の生活や感情を丁寧に描きながらも、その先にいつも光を見出しているバンドだと、私は捉えています。それに対して、Grapevineは、光の見えない日常や生活を描きながらも、その暗闇自体を肯定しているスタンスのように感じられます。光が見えない、そのこと自体を丸ごと肯定して、そして淡々と過ごすことをしあわせとして描き続けているように受け取っております。

そうした観点からも、二つのバンドの描いている世界観は、まるで重なることはありませんでした。また、やさしさというキーワードをここで敢えて挟ませて頂きますと、冷たい風もいいじゃない、変にやさしくせんでも、冷たいならそれで、それがいいんじゃないかな、という温度感、そんな温度感が実は当時の時代の風に、うまくフィットして私たちにも馴染みが良かったのではないかなぁと、私は思っています。

そして、今回の作品ですが、そういったバンドのスタンスを継続しながら、「RAKUEN」という、まさにGrapevineそのもののような作品で、幕を飾っていることに、とても嬉しさを感じております。
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テーマ:お気に入り&好きな音楽 - ジャンル:音楽


-ダンサー・イン・ザ・ダーク-

  1. 2012/12/10(月) 03:37:00_
  2. 映画評
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ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]
(2001/06/21)
ビョーク、カトリーヌ・ドヌーブ 他

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ラース・フォン・トリアー監督による2000年の製作。主演は、近年でも稀な人気と実力、また歴史的にも大きな功績を残しているアーティストの一人であるビョーク。本作は、私自身が以前よりビョークファンであることが、きっかけで観ることとなりました。

本作では、何よりもまず全編通して、彼女の素晴らしい歌声を堪能することが出来ることが一つの魅力です。そして、様々な場面でのミュージカル演出は、この作品の聴覚や視覚における大きな要素となっています。ただ普通に演出をしただけでは、重苦しくなってしまうシーンを選んでの音楽とダンスは、この映画の暗いテーマをやさしく包み込んでくれます。

また、作品の文学的な側面では、人道的なテーマや、また同時に被害者と加害者の移ろう交差は、昨今の現実社会をそっと照らしてくれるようにも感じ得ます。人の命や、また私たちが何を大切に生きているのか。それぞれが、大切なものには優先順位を付けていくように、また主人公セルマも本当に大切なものを守るために、命を全うして生きることを選びます。

公開から十年以上の時を経て、改めて観てみると、決して暗いテーマばかりではなく、人のやさしさに触れ、また穏やかでハートフルな作品であるように思いました。我々の社会も世間も、決して都合の良いことばかりではないけれど、都合の悪いことばかりでもない、そう信じる希望を与えてくれる、やさしくて美しい映像物語です。

テーマ:お気に入り&好きな音楽 - ジャンル:音楽


Tierra / L'Arc~en~Ciel

  1. 2012/12/02(日) 01:17:02_
  2. CDレビュー
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TierraTierra
(1994/07/14)
L’Arc~en~Ciel

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音楽に微々僅かでも関心がある日本人なら、確実に名前くらい知っているであろうバンドL'Arc~en~Cielのメジャーデビュー盤です。ただこの作品を聴いたことあるのは、どちらかというとバンドのファンに限られているのではないでしょうか。

ご存知の通りこのバンドは、90年代後半が人気の絶頂であり、それからもある程度の人気を保ちながら、特にVo.のhyde氏のルックスを中心に語られています。類い稀なる端正な顔立ちは、音楽以上に引き付ける才能となって居りますが、歌唱力に関しては、人気絶頂の頃のhyde氏のメンタル面の不調により、あまり良好な印象が無いのも事実です。実際、歌番組などでも、ピッチが不安定になることも多いのは承知の通りでしょう。しかしながらも、15周年を迎え、更に20周年を迎えた辺りからは、その歌唱力は、日本人歌手の中でも指折りの表現力を身に付け、そして、最新作では、その音楽性に至っても、世界に通じるレベルを獲得して居ります。余談ではございますが。

L'Arc~en~Cielは嫌いじゃないけれど、hydeの歌い方はちょっとなぁ。そんな方に私は、あえてこのデビュー盤をオススメしたいと思います。hyde氏の歌声の安定感や綿密に構築されたアレンジの精度。特に歌い方もこの頃は、過度にナルシスティックな印象は無く、男性的なテノールを響かせるようなクラシカルな発声をしています。その歌声だけでも、聴く価値は充分にあると言えるでしょう。個人的な私見を述べさせてもらえれば、私はこの頃のhyde氏の歌声に最も好感を持って居ります。この頃、女性的な要素は全くなく、極めて男性的な、元来備わっている低音の穏やかな魅力に包まれています。

音楽性に於いても、プログレに傾倒していたDr.のsakura氏の緻密な演奏の影響も有り、全体のバランスが非常に繊細で、現在のバンドには無い、空間系オルタナ寄りのクラシカルなサウンドとなっています。作品としても、一瞬たりとも捨て演奏は無く、日本に於ける音楽作品としても、非常に完成度の高い、充実した仕上がりを感じます。また2012年の作品と言われても、通用するだけの普遍性を持つ、時代の流行り廃りには全く見向きもしない類いの芸術音楽です。この作品が芸術作品であることは、hyde氏も最近になって認めていました。現在は、仕事としてクオリティの高い作品を作り続けているバンドですし、この時代の、純粋な芸術性は、やはりマイノリティな音楽ではありますが、現在のL'Arc~en~Cielのポピュラー性に抵抗を感じる人ほど、耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

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Sketches For My Sweetheart The Drunk / Jeff Buckley

  1. 2012/12/02(日) 00:55:20_
  2. CDレビュー
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素描素描
(1998/05/13)
ジェフ・バックリィ

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1997年、レコーディングの最中に起きた突然死。それは、あまりにも唐突で、その若さ故にも、輝きは尚も増して来ました。そのときレコーディングをしていたのが、今作品です。様々な意向はありながらも、現行の形で、未完成ながらも発売されました。日本語タイトル「素描」と名の付いた今作は、あまりもざらついた質感でありながらも、生々しい声を伝えるに十分な魅力で溢れています。完成された前作よりも、それは生きる力に満たされているとさえ思えて来ます。

この作品には、遺作と言う異名が付いて回ります。それは、尚も必然ではあるのですが、そうゆう想いを抜きにしても、これだけの美しい作品を作れるミュージシャンと言うのは、当時も今も、そして歴史を紐解いてみても、それほど多くはないと言うことが、ある程度の音楽を聴いて来た人なら、一聴して分かるのではないでしょうか。

アレンジが未完成で、音のまとまりが分散的になっているが故に、その声はまるで、Jeff Buckleyと言うその人が今ここにいる証のように、美しく響いて来るのです。ジェフの声は、時として「天使の歌声」と例えられているようです。それは、命を落としたことが後押しするかのように、命をかけて歌声を響かせているかのように、十年以上経った今でも、微塵も色褪せない輝きを放っています。

まだ彼の歌声を聴いたことのない人は、その声をすぐにでも誰かに伝えたくなる、そんな体験をすることになるかもしれません。美しい音楽と言うのは、理論や理屈ではなく、そこにその音楽が流れていると言う事実、その事実一点にのみ、大きな価値を生み出すのかもしれません。また明日から、生きて行こう。生きるって悪くない、そう思わせてくれる光の歌声を、きっと響かせてくれることでしょう。

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-音楽記録媒体史から、-

  1. 2012/12/01(土) 02:27:18_
  2. 理論色々
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音楽の記録媒体史は、更なる進化を期待されています。レコードからCD、そしてデータ音源へ。その間、DATやカセットテープ、MDなどを挟みながらも、概ね、データを圧縮しながら進化を続けています。レコードよりもCD、CDよりもmp3というように、音源はより小さく、小さくまとめられながら、時代を駆け抜けているのです。

実際にはどういった違いがあるのかと言えば、レコードでアナログ録音された音源には、人間の耳には聴こえない不可聴帯域が実に多分に含まれています。含まれているというより、カットされていないという表現が正しいでしょう。聴こえなくても録音しているから、勝手に入ってしまっているのです。

しかし、CDになると、音波をデータに換えて取り込んでいるため、不必要なところがいくらか削られています。そして、mp3などに圧縮された音源は、こちらは意図的に、データ量を小さくするため、わざと要らないところ、それは可聴帯域であっても削り取ってしまっているのです。

そこまで話せば、いかに録音状態の悪い音源であっても、論理的にレコードを越える良質な音源は作り得ないのです。しかしながらも、何を良い音と感ずるかは人それぞれです。itunesやlismoなどでダウンロードした音源であっても、良質なオーディオ機器で再生するならば、一般論としての「音質」の良さ、低温のふくよかさや中音域のまろやかさ、高音域のきらびやかな音色などは、所謂、古きのレコードプレーヤーで再生するそれよりも、勝っている言わざるを得ないでしょう。

それでも、音楽というのは、人が感じて、人が想い、人が伝える、人と人との触れ合いでもあります。それ故に、何を良しとするかは、一概に決めつけることは出来ないもの。それぞれの主観で、そして客観で、揺り動きながら認識されていくのだと思います。

そして、これは私の私見であって、一般論とは言えないし、正論であるとも思ってはいないのですが、データ音源がレコードを越えるために必要なもの、それは、もしかしたら要らない音なのかもしれません。音同士が重なって消えてしまう音や、聴こえないくらい小さな音で鳴っている音色など、聴こえない部分に焦点を当てて、音像を広げていくことで、レコードの深みをデジタルで味わえるような、否、言い方が悪いですね、デジタルであるのにも関わらず、レコードより和みのある、レコードよりも人の手を感じる音源が作れたなら、それは素晴らしい素敵な進化と言えるのではないでしょうか。

テーマ:音楽のある生活 - ジャンル:音楽


Boy With the Arab Strap / Belle & Sebastian

  1. 2012/12/01(土) 01:44:54_
  2. CDレビュー
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Boy With the Arab StrapBoy With the Arab Strap
(1998/09/08)
Belle & Sebastian

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英国は、グラスゴー出身のカウンターバンド「belle&sebastian」'98年の作品です。当時、日本ではグレイやラルクを中心としたビジュアル系バンドが人気を誇り、椎名林檎やaiko、宇多田ヒカルなどが揃ってデビューして来た頃でした。そんな世紀末の浮きの世に、それは暗いスタンスながらも、確かな光を放って居りました。

当時の日本の洋楽シーンはというと、長年続いた「MUSIC LIFE」誌が休刊を告げたのもこの年の暮れのこと。同誌の邦楽シーンでは、スーパーカーやGRAPEVINE、小島麻由美などが注目されていました。全体的にブリティッシュな音楽テイストが国内外問わず、トレンドだった時代でもあります。

実際に国内でも「beat U.K.」というイギリスのチャート番組が深夜帯で毎週放送されていたことを考えると、そのトレンド感も大いに分かって頂けるのではないでしょうか。

そして、このバンド「belle&sebastian」です。当時は、インタビューもほとんど受けることはなく、写真を掲載されることすらにも抵抗していたバンドです。そんな時代の、まぁいつの世も変わりはないかもしれませんが、若き日のアングラ気分というのは、実に奇怪なものであるとも言えます。

ただ、その音楽はというと、実に繊細で丁寧に作り込まれた美しい音世界で、インナーで憂鬱な歌詞を私小説的に綴りながらも、そのメロディやコード感の美しさ、バンドアンサンブルの巧さ、録音のクラシカル感などもvo.の声量の少なさと共に、独自の世界観を保っています。

今なお、活動を続けているバンドではありますが、この頃の「belle&sebastian」の美しさは、現在の音楽性と比べても逸筆ものです。もう一度このような音楽を期待するのは、いささか期待が重過ぎるというもの。しかしながらも、この頃の音楽がこうしていつでも聴けることには有り難みを感じざるを得ないところであります。

テーマ:お気に入り&好きな音楽 - ジャンル:音楽



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